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第1376話
ただただ感心するばかりである。自分は最近ようやく上位二桁までランクが上がったが、上がれば上がるほど上位陣の凄さに圧倒されてしまう。今の自分が同じように鍛錬を続けたら彼等のようになれるのかと言われたら……正直全く自信がない。
とはいえ、ここに来て早々愚痴や弱音を吐くわけにもいかないので、アクセルはごまかすように言った。
「……ケイジ様って、元は修行僧だったりします?」
「うむ、僧は僧でも僧兵だがな。学問や座学も行うが、純粋な学僧とは少し違うのだ」
「そうなんですか……。戦う僧侶だったんですね」
「かつての職業は人それぞれだ。傭兵出身者が一番多いが、ユーベル殿は貴族だし、海賊出身者もいる。一口に戦士 と言っても、様々な人種がいるのだ」
「はい……そうですね」
そういった様々な人種とも、上手くやっていけるのが器の大きい人なのだろう。
自分はどうだろうな……と思いつつ、アクセルはケイジの修行を見学した。砂を歩き終えた彼は、今度は滝壺に入って淡々と滝に打たれていた。
***
昼下がりになり、アクセルはひとまず修行場を離れることにした。本当はもう少し見学していきたかったが、帰りもあの険しい岩山を通ることを考えるとあまり長居もしていられなかったのだ。
「ケイジ様、見学ありがとうございました。とてもタメになりました」
「そうか。弟君の役に立ったなら喜ばしいことだ」
「今度は俺も、修行に挑戦しようと思います。その時は、もっとしっかりした装備で臨みますので。……それでは、失礼します」
念のため修行場にあった水飲み場でボトル二本分の水を補給し、アクセルは山を下った。
帰りは道もわかっているから少しは楽に行けるだろうと思ったのだが、岩壁が思った以上に滑りやすくて、転ばないように気を張っていたらかなりの体力を消耗した。完全に下山した時には、既にくたくたになっていた。
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