1380 / 2001

第1380話

「ふんふん~♪ 今日は特大のステーキだよ~♪ 好きな焼き加減で好きなだけ焼いてあげるから、リクエストしてね~♪」  綺麗になった服を持って帰宅したら、兄がものすごい上機嫌でキッチンに立っていた。捌きたての肉をステーキにできることが、余程嬉しいようだ。 「ええと……俺は普通サイズでいいかな。焼き加減も普通で……」 「え、普通でいいの? 別に遠慮しなくていいのに」  ……遠慮ではなく、自分は兄のような肉食ではないだけなのだが。  とりあえず夕食作りは兄に任せることにして、アクセルは他の雑用を済ませることにした。洗濯物を引き出しにしまい、軽く寝室の掃除をして、食事のテーブルを整える。ストックのハチミツ入りレモン水をかなり消費してしまったので、追加で作り置きもしておいた。 「お待たせ~! ステーキ焼きたてだよ。早速食べよう」  兄が大皿にステーキを盛ってきてくれたので、冷めないうちにいただくことにした。新鮮な熊肉はそれなりに美味しくて、十分食べ応えがあった。兄などは一枚では飽き足らず、一気に三枚も食べてご満悦の様子だった。さすがはお肉大好きの兄というか……。 「それで兄上、次はいつ非番になるんだ?」  何気ない話の流れで聞いてみた。 「できれば、なるべく早くあの修行場で修行チャレンジしたいんだが」 「ああ、私も早めに付き合ってあげたいよ。でもなんか知らないけど、最近仕事が詰まってるんだよね。今日狩りの引率あったのに、次は鍛錬の指導が三日連続で入ってるの」 「え、そうなのか?」 「うん、そう。帰りにスケジュール表確認したら、そんな風になってた。他の上位ランカーも同じようなもので、明日はジークが狩りの引率、ユーベルも死合いが何日か連続で入ってるみたいだよ」 「め、珍しいな……。今までそんな仕事に追われることなんてなかったはずだが」  むしろ、非番が多すぎて毎日何をしようか悩んでいたくらいである。

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