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第1382話

 それから二週間が経過した。  この日はとうとうトーナメント表が発表されて、朝から世界樹(ユグドラシル)の前は人でごった返していた。  ――う……全然近づけない……。  もちろん、アクセルも自分がどのトーナメントに入っているか、どんな相手がいるのか確認しようとした。が、三回ほど時間を置いて見に行ったものの、人混みがひどくて表を見ることができない。近づこうとしてもいつの間にか外に押しやられて、結局確認できず終いだった。  仕方なく家に戻ると、 「おかえり。トーナメント表は確認できたかい?」  ソファーで冊子を眺めていた兄が声をかけてきた。今日は久しぶりの非番らしく、兄は朝からああしてソファーでゴロゴロしている。たまには休むのもいいだろう。 「……ダメだった。やっぱりどの時間帯も人がたくさんいて近づけもしない」 「ありゃ。じゃあ今度は深夜に行って来れば? さすがに深夜なら人も少ないでしょ」 「うん、まあ……どうしてもダメだったらそうするが、トーナメント表の確認だけでこれだけの労力をかけなきゃいけないのは、どうも釈然としないな……」  いつも思うが、こういうお知らせは運営側がプリントなり新聞なりを刷って各家庭に配布すればいいのではないだろうか。大事なこともそうでないことも全部一緒くたにして世界樹(ユグドラシル)の前に貼り出してしまうから、いつまで経っても混雑が緩和されないのである。  ――いつぞや、貼り出されたものをコピーして全員に配ってやろうとしたのに、運営(ヴァルキリー)に邪魔されたもんな……。  そんなもの自力で覚えろ、戦士(エインヘリヤル)は頭も悪いのか……などと、理不尽な言いがかりをつけられてイラッとした覚えがある。  まったく……ヴァルキリーに運営を任せているとロクなことがない。いつか自分たちが自主的にヴァルハラを管理できるようになりたいものだ。

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