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第1386話
図書館の裏手に回り、鍵のかかっていない窓からこっそり侵入して、魔法のコピー機を探す。
当然のことながら図書館も今は真っ暗で、どこに何があるのか目ではほとんど確認できなかった。深夜に忍び込んだことがバレると面倒臭そうなので、明かりもつけられない。つくづく、ランプを持ってきておいてよかったと思った。
――よし、これだな。
受付近くにあったコピー機を発見し、早速剥がしたトーナメント表を読み込ませる。ウィーン……という機械音と共にトーナメント表がスキャンされ、次いでピコンという電子音が鳴った。深夜で静まり返っているせいか、電子音がやたらと大きく聞こえた。
早くしなきゃ……と、急いで部数を選択しコピーを開始する。ガシャンガシャンとコピー用紙が吐き出され、巨大なトーナメント表がA4サイズの紙に縮小された。字は更に細かくなったが、世界樹 前にずっと貼りついて自分の名前を探し続けるよりマシだろう。
「……よし、ひとまず帰ろう」
あまりたくさんは印刷できなかったけれど、一枚でも手元にあればこっちのものだ。必要ならコピーしたものを元に、更にコピーすればいい。
急いでトーナメント表を回収し、開いている窓から外に出る。
そして世界樹 の前まで戻り、トーナメント表を綺麗に貼り直した。今のところ誰にも目撃されていなさそうだったので、少しホッとした。
――さて、帰るか。
何事もなかったように、アクセルは自宅に戻った。兄はまだ起きていて、帰りを待ってくれていたようだった。
「ああ、おかえり。やっと帰ってきたね、遅かったじゃない」
「すまない、トーナメント表をコピーするのに手間取ったんだ」
「……コピー?」
アクセルはコピーした表を兄に見せつけた。そしてトーナメント表を剥がして、深夜の図書館にこっそり忍び込んだことを話した。
「はー……そんなことしてたのか。道理で遅いと思ったよ」
半ば呆れた口調で、兄が言う。
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