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第1390話

 それはそれで残念な気もする。アクセルは真面目に戦って優勝を目指そうと考えているのに、不戦敗だらけでは勝ち上がった気がしない。  下位ランカーにしても、せっかくのチャンスをふいにしているみたいで、なんだかもったいないではないか。  ――これも価値観の違いなんだろうけど……これじゃ何のためにヴァルハラに来たのかわからないよな……。  まあ、価値観の違いなら自分がこれ以上とやかく言うことはできないけど……内心は複雑な気持ちである。  アクセルは軽く息を吐き、やんわりとこう言った。 「でも俺は、一回くらいチェイニーと真面目に戦ってみたいな」 「いやいや、そんな。オレがアクセルに敵うわけないじゃん」 「そうか? やってみないとわからないだろ。チェイニーは俺の戦い方知ってるだろうから、対策は立てやすいと思うぞ」  逆にこちらはチェイニーがどんな風に戦うか知らないので、完全な初見となる。ハンデだと思えばちょうどいいかもしれない。 「んー、でもさ。仮にトーナメントでアクセルと当たったとしても、オレが勝つわけにはいかなくない?」 「……何でだ?」 「だってアクセル、優勝目指してるんでしょ? それでフレイン様への挑戦権を獲得したいんだよね? オレは別に勝ち上がる理由もないから、アクセルと戦ったら普通に勝ちを譲っちゃうけど」 「いや、それは……」 「いやね、言いたいことはわかるよ? でも真面目に戦ったところで、どの道オレが勝つわけにはいかないじゃん。最初から結果ありきなのに、真面目に戦うとかアホらしくね? そんな死合い、オレがやる気失くすというか」 「…………」 「これが例えば『勝ったらアクセルとデートできる』みたいな条件がついていれば、オレも本気出すかもしれないけどさ」  そう言われた瞬間、ほとんど反射的にこう答えていた。 「わかった、それでいいよ」 「……えっ?」

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