1393 / 2001

第1393話

 もちろん勝てるように頑張るつもりだが、油断していい相手など一人もいない。  だからこそ、毎日の鍛錬が欠かせないのだ。 「さてと……昼飯までもう少しやるか」  クールダウンがてらストレッチし、使った筋肉をゆるゆると刺激する。これをやっておかないと筋肉痛になる場合があり、翌日の鍛錬に支障をきたすのだ。もっとも、いつもと同じ鍛錬をしている分には、滅多に筋肉痛にはならないけれど。  ――ケイジ様の修行場に行った時は、翌日全身がバキバキになったけどな……。  ほぼ見学しかしていないのに筋肉痛になったのは、険しい岩山を上り下りしたからである。いつも同じ鍛錬ばかりしていると筋肉も慣れてあまり刺激にならないので、たまには全く違うことをするのも必要だ。  せっかくトーナメントも始まるし、その前に一度くらいは訪れたい。今度は兄もついて来てくれるというし、いつ行こうか話だけでも振ってみるか。  そうやってしばらくストレッチしていたら、兄が湯気の立った大鍋を抱えてきた。 「はい、できました。ピピちゃんもお待たせ。お腹空いたでしょ」 「ぴー♪」 「熱いから気を付けて。私たちも一緒に食べようね」 「ああ、そうだな」  兄が庭に鍋を置いた途端、ピピは大喜びで鍋に頭を突っ込んだ。最初は熱かったらしく舌を火傷してしまったみたいだが、すぐに慣れてムシャムシャ食べ始めた。  その食べっぷりを横目で見つつ、アクセルは自分の昼食をベランダに運んだ。兄が作ってくれたスープとパン、カルシウム補給のための牛乳をテーブルに置く。そしてみんなで一緒に食事をした。トレーニング後の身体に、塩気のあるスープは非常に美味しかった。 「ところで、兄上は次いつ非番になるんだ?」 「あー……いつだろう? なんか知らないけど、明日も明後日も仕事入ってるんだよね。なんで?」 「いや、ケイジ様の修行場に再チャレンジしようかと。前回はほとんど行くだけで終わってしまったから、今度こそ修行したいんだ」

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