1394 / 2000

第1394話

「ああ、そうだったね。そしたら三日後とかでどうかな。その日なら何もなかった気がするんだ」 「わかった、三日後だな。それまで家で身体作りしておくよ」 「お前はホントに真面目だね。でも無理しすぎないようにするんだよ?」  うん、と頷き、アクセルは昼食を平らげた。  午後も同じように庭で地道に鍛錬を続けた。鍛錬そのものはいつもと同じなので慣れたものだ。が、慣れ過ぎるのもよろしくない。最近、どうも筋肉への刺激が足りない気がする。  ――やっぱり、たまには違う場所で鍛錬しないと効果が薄まるな……。  スタジアムの近くにある共同の鍛錬場に行こうかとも思ったが、トーナメント前で混雑してるだろうと思って結局やめた。  それにアクセルは――何故かわからないが――他の利用者にいちゃもんをつけられて追い出されることが多い。以前弓の練習をしていた時も「そんなに下手くそだと他のヤツらに迷惑だから帰れ」などと言われ、やむなく鍛錬場を後にしたものだ(下手くそだから練習しに来てるんだよ……と思ったけど、それも結局言えなかったし)。 「……ふう」  滲んだ汗をタオルで拭い、ハチミツ入りレモン水で水分補給をして、一息ついた。  体力的にはまだまだ余裕がある。このまま山を上り下りしても普通に帰って来られそうだ。ごく一般的なハイキングコースなら、そんなにキツくないし……。 「ピピ、これから山登りに行かないか?」 「ぴ?」 「往復するだけだから、のんびり周りを見て……ってわけにはいかないけどな。でもたまには山を散歩するのもいいだろ? よかったら一緒にどうだ?」 「ぴー♪」  ピピが喜んで足踏みし始めたので、アクセルは早速出掛ける準備をした。  自分一人で行くと万が一罠にかかった時に困るから、ピピがついて来てくれるととても助かる。 「兄上、ちょっといつものハイキングコースを往復してくるよ」

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