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第1396話
「そうだよな、こっちには何があるかわからないもんな。大丈夫、ちゃんといつもの道を行くよ。止めてくれてありがとう」
「ぴー」
「さ、早く頂上まで行こう。あまり遅くなると兄上が心配する」
気を取り直し、アクセルはいつもの山道を進んだ。先程の横道が気になったが、それは今度兄と一緒に来た時にでも調査しよう。
そのまま頂上まで歩き、周囲の景色を堪能した後、ゆっくりと下山した。例の横道をスルーし、無事に麓まで下りてくる。陽が完全に傾く前に戻って来られてよかった。
「おかえり。もう少し遅かったら迎えに行こうかと思ってたんだ」
兄が笑顔で出迎えてくれる。冗談ではなく、かなり心配していたことが窺えた。ハイキングコースを往復するだけなのに、そんな大袈裟な。
「そう言えば兄上、いつもの道の脇に変な小道があったぞ」
「……小道? 何それ?」
「わからない。人一人がギリギリ通れるくらいの細い道で、茂みに隠されていたんだ。きっとケイジ様が修行場への道として新しく作ったんだろうな」
そう言ったら、兄はますます怪訝な顔をして首をかしげた。
「? ケイジがハイキングコースに新しく道を作ったなんて聞いたことないけど」
「えっ……?」
「ケイジがそういうことをするのは、あくまで自分が所有している土地の中だけだよ。公共の施設までは勝手に作り替えたりしないはず。ハイキングコースはみんなが使う道でしょ? そんな場所に横道を作ることはないと思うね」
「ええ? じゃああの横道は一体……」
「新しくできた獣道か何かじゃない? あるいは、単なる見間違いとか」
「見間違いなわけない。あれはピピが最初に発見したんだ。それで、どうしようか悩んでいる俺を止めてくれたんだ」
「え? お前、そっちに進もうとしてたの? どんな道かわからないのに?」
「う、うん……。でも結果的にはスルーしてきたから大丈夫だ」
そう弁明したけれど、盛大に溜息をつかれてしまった。
次いでガシッと両手で肩を掴まれ、心底ホッとしたようにこう言われる。
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