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第1398話

 いくら何でもそれは……と思うので、どうにか改善したい。兄だっていつも同行してくれるわけじゃないし、他の人にも都合があるだろう。ピピだったら毎回ついて来てくれる気もするが、何度も付き合わせていたら「またか……」と呆れられてしまいそうだ。 「なあ、兄上……。危なっかしい性格を直すにはどうすればいいんだ?」  アクセルは思い切って兄に尋ねた。 「俺は兄上に心配かけるのも、他の人の迷惑になるのも嫌だ。一人でできることは一人でやりたい。これでもいい大人なんだから、自分の面倒は自分で見られるようになりたいんだ」 「ああ……うん、気持ちはわかるけどね……」 「今更性格を変えるのは難しいってのもわかってる。だけどやっぱり、このままじゃダメだと思うんだ。今まで何度もピンチに陥って、その度に兄上や他の人に助けてもらってきた。でもそれはたまたま運がよかっただけで、助けが来ないことだって大いにある。だから、最初から罠にかからないようになりたいんだよ。何か秘訣があるなら教えてくれ」 「秘訣ねぇ……」  兄は顎に手を当てて首を捻った。何かを考えているみたいだったが、結局兄の口から出てきたのはこんな言葉だった。 「それはやっぱり、ひたすら注意するしかないと思うよ? 危なそうな場所には極力足を踏み入れない。例え気になっても、自分一人で調査しようとしない。『俺は罠にかかりやすい人間なんだ』と自分自身に言い聞かせる。それくらいしか対処方法ないと思うよ。危険な目に遭いづらい人ってのは、基本的に用心深いからね」 「そ、そうだよな……」 「ただ、お前が罠にかかりやすくなっちゃったのは、ある意味私のせいでもあるんだ。お前のことが可愛すぎるあまり、先回りして危ないものを全部取り除いて来ちゃったからね。お前自身も『気を付けなきゃ』と思う一方、心のどこかで『ピンチになっても兄上が助けてくれる』って思っている節がある。これはもう幼い頃からの擦り込みだから、今更直すってのは不可能な気がするよ」 「それは……」

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