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第1399話

「……だからその分、私が責任持って守ってあげなくちゃいけないんだ。とはいえ、私の身体はひとつしかないし、エスパーでもないからお前のピンチに間に合わない可能性もある。そうならないように、なるべく一人で知らない場所に行かないで欲しいんだよ。それ以外の行動は自由で構わないから、私をヒヤヒヤさせる行動は慎んで欲しい」 「…………」 「お前を失ったら、私は生きていけないからね……」 「兄上……」  兄の気持ちが、痛いほど伝わってきた。  こちらを大事に思っているからこそ、過保護になる。可愛い弟を失いたくないと、あの手この手で守ろうとする。行動制限を設けてしまうのも、その表れだろう。  結果として、アクセルの危機意識が育たなくなってしまったわけだが……。 「……わかったよ、兄上」  アクセルは微笑みながら、答えた。 「今後は一人で知らない場所に行かない。どうしても行かなきゃいけない時は、誰か同伴者を連れて行く。俺自身も、罠にかからないよう気を付けて行動するよ。だからそんなに心配しないでくれ。俺は兄上を置いていなくなったりしないから」 「……そうかい? お前はいくつになっても目が離せないからね……」 「大丈夫だって。というか、相手を置いていなくなるのは、むしろ兄上の方が多いと思うんだけどな」  見送るのはいつも自分の役目。戦死したのも兄が先だったし、ヴァルハラに来てからも兄は連絡ゼロで家を留守にすることがしょっちゅうある。  兄のことだから多分大丈夫だろう……と思えるものの、仮に立場が逆転していたら気が気ではなかっただろう。兄が自分の知らないところでいなくなったら……なんて考えたくもない。そんなことになったら、自分だって生きていけない。 「とはいえお互い仕事もあるし、いろんな付き合いもあるからな。別行動になることも多いだろうけど、その際は行き先を連絡し合えばOKってことにしないか? まあ、これはいつもやってることだけどな」

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