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第1400話

「まあね……。それでも心配になっちゃうのは、私が過保護すぎるのかな」 「いや、俺が不注意なだけだ。とにかく、お互い連絡は怠らないようにしよう。俺もなるべく気を付けるから、兄上も勝手にどこか行かないでくれよな」 「もちろんさ。どんなことがあっても、私は必ずお前の元に帰るよ」  長い腕で引き寄せられ、軽くハグされた後キスまでされてしまった。  何というか……本当に自分は兄に愛されまくっているなと思う。もったいないくらいだ。 「さて、そろそろ夕飯にしようか。たくさん鍛錬して疲れただろう? 栄養価のある食事を作るから、お前はピピちゃんとお風呂でも入っておいで」 「ああ、わかった」  言われた通り、アクセルは外の露天風呂に浅く湯を張り、そこでピピと自分の身体を洗った。  大人しく泡まみれになっているピピに、アクセルは改めて礼を言った。 「ピピ、さっき横道に逸れそうだったのを止めてくれてありがとう。助かったよ」 「ぴー」 「というか、あの道は一体何だったんだろうな? 兄上は、ケイジ様が作ったものじゃないって言ってたし……。ただの獣道だったのかな」  するとピピはチラリとこちらに視線を送り、たどたどしい口調でこう答えた。 「げんえいのみち」 「えっ……?」 「あのみち、へんないきものでる。ほんものじゃない、ほんものみたいないきもの」 「……何だそれ? そんな道があるのか? 何でそんな道があんなところに?」 「ぴ……」  それは知らない、と首を振るピピ。 「あのみち、ふつうのひとはかえってこれない。アクセルも、ひとりでいってたらかえってこれなかった。はいらなくて、よかった」 「そ、そうか……そんなヤバい道だったんだな……」  ……今更ながら、本当にピピがいてくれてよかった。  お礼がてらいつもより念入りにピピの身体を洗い、コンディショナーも使って毛並みをふわふわに整える。タオルで水分を拭き取り、高級ブラシでブラッシングしてあげていると、兄がベランダから声をかけてきた。

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