1401 / 2014

第1401話

 そして兄が作ってくれたイノシシのシチューを食べて、その日は普通に床についた。 ***  三日後。約束通り、兄にケイジの修行場に案内してもらった。 「この道を真っ直ぐ進めば、彼の修行場に着くよ」  兄が教えてくれたのは、麓の修行場から少し北に外れた一本道だった。  そこはアクセルが通った道より遥かに歩きやすく、岩山のようなおかしなギミックもない。道が整備されているわけではないのでハイキングコースよりは進みにくかったけれど、それでも、以前の岩山は何だったのかと思うレベルだった。 「なんだ、こんな道なら楽勝じゃないか……。俺が通ってきた道はマジで何だったんだ……」  軽く水分補給をしつつ、アクセルは愚痴をこぼした。 「俺、自分ではそんなに方向音痴なつもりはなかったんだけどな。地図もちゃんと読めるのに、何で毎回変な道を通っちゃうんだろう」 「うーん……。もしかしたらそれも、おかしな道に迷い込んだ結果だったのかもしれないよ」 「えっ……?」 「昨日、ピピちゃんとハイキングした時に変な横道を見つけたって言ってただろう? お前が通った岩山とやらは、その横道と同じ部類だったのかもしれない」 「えええ? いや、そんなはずないだろ。現に俺はちゃんと岩山を踏破して帰ってこられたんだ。もしそれが怪しい道だったら、俺は今ここにいないはずだよ」 「まあ、本当のところはわからないけどね。ただ、その可能性もゼロじゃないって話さ。現にお前が通って来た岩山とやらはこの近くにないし、道も間違えようがなかっただろう? そうなると、何かこう……普通じゃないことが起こったのかもって考えたくもなる」 「…………」 「まあ何にせよ、無事に帰ってきてくれて本当によかった。これからは私がついてるから心配いらないよ」 「あ、ああ……」  返事はしたものの、そう言われると以前の道が一気に気になってくる。兄が一緒にいるのなら、もう一度あの道を通って調査したいくらいだった。

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