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第1402話

 ――なんで俺が一人の時に限って、そういう道が現れるんだ……?  どうにも解せない。たまたまなんだろうけど、こうまで偶然が続くと狙われているのかと思ってしまう。  誰かが自分を罠にかけるために、行く先々で幻覚を見せているのか……?  ――いや、さすがにそれはないか。  頭を振り、自分の考えを追い払う。  ランキング三位の兄ならともかく、自分は最近二桁に上がったばかりの一般戦士である。足を引っ張ったところでメリットはほとんどない。  もうすぐトーナメントの初戦も始まるのだ、余計なことは考えず鍛錬に集中しなくては。  兄の後ろをついて歩き、無事に例の修行場に辿り着いた。今日はケイジもおらず、使っている人は誰もいなかった。 「よかった、これなら気兼ねなく鍛錬できるね」  早速兄が荷物を置き、簡単な準備運動を始める。アクセルも真似して準備運動を行った。  準備運動を終え、兄が近くの丸太を担いで落とし穴を渡り始める。何十キロもあるような重い丸太だったが、兄は微動だにせず余裕でスタスタと渡り切ってしまった。今更だが、さすがの体幹の強さである。  ――よし、俺も……。  兄の丸太より幾分軽い丸太を担ぎ、そっと落とし穴にかかっている棒に足をかけた。  家の庭にこれと似た落とし穴を作ったものの、こちらは深さもあるし底には鋭い木が刺さっている。危険度は桁違いだ。  なるべく下を見ないように努めながら、アクセルは慎重に歩を進めた。時々危ないところはあったが何とか半分渡り切り、そのままの勢いで残り半分も歩くことができた。落ちずに渡り切れてホッとした。 「おお! お前も随分体幹が強くなったじゃない?」  兄が拍手して褒めてくれる。アクセルは丸太を下ろし、汗を拭った。 「まあ、少しくらいはな。いつまでも弱いままではいられないし」 「いいことだよ。帰ったらもっと詳しく体幹の強さチェックをしてあげるね」 「……えっ?」

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