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第1426話
勝ち上がればどんどん強い相手が出てくるわけだし、初戦くらいはサクッと勝利を収めてしまいたかった。
「お前の気持ちはわかるけど、まず危なげなく勝とうとしているところから考えを改める必要があるな」
と、兄が真面目に諭してくる。
「そもそもランクっていうのは、その人が所持しているポイント数でしかない。純粋な実力とはまた違うんだよ。それはわかってるだろう?」
「う、うん……わかってる……」
「なら、これもわかってるよね? ランクが高いからって実力があるとは限らないって。逆もまた然りで、ランク的にはたいしたことないのにとんでもない実力を秘めている人だっているんだ。お前もそうだよ? 今まで私やユーベルと戦ったことあるけど、対等とは言えないまでも死なずに一生懸命食らいついてたでしょ? それができる人はかなりの実力者だよ。今はポイントが稼げてないから九十七位になってるけど、本当は三〇位以上あってもおかしくないくらいなんだ」
「そ、そうかな……」
「そうだよ。私が言うんだから間違いない。だから、ランクだけで一喜一憂するのはやめなさい。変なところですぐ自信をなくしちゃうのは、お前の悪い癖だ。そんなに落ち込まなくても、お前はもう十分強いんだから」
兄がポンとこちらの頭に手を乗せてくる。
「大丈夫、四十九位の相手なんて恐れる必要はない。もちろん油断できる相手でもないけど、お前なら頑張ればきっと勝てる。初戦の死合い、楽しみにしているよ」
「……ありがとう。頑張るよ」
いい子いい子、と撫でられて、ようやく平常心が戻ってきた。
――まったく……俺もどうかしてるな……。
落ち込む度に兄に泣きついて、こうして励ましてもらって、それでやっと立ち直れる。いい大人が恥ずかしい限りだ。
そんなことを思いながらも、結局自分は兄に甘えるのをやめられない気がする。自分は生まれた時からずっと「弟」だから、今更そこを脱却するのは不可能だと思う。
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