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第1429話

「そういうことだったのか……。ごめんな、ピピ。全然気づかなかった」 「ぴー」 「そういや、餌も柔らかい食べ物ばかりだったよな。もっと硬いものがよかったか?」 「ぴぇ……」  ピピが首を横に振る。食事に関しては食べ物の硬さは関係なく、より美味しい方を優先するみたいだ。 「わかった、じゃあピピが好きな硬い木材をもらってくるよ。ちょっと待っててな」  アクセルは早速アロイスの小屋を訪ねた。元木こりの彼なら、ピピにふさわしい硬い木材のアドバイスをくれると思ったのだ。 「……というわけなんだ。どんな木材がいいか、教えてくれないか?」 「へー、うさぎ飼ってると大変だなー。アレだろ? あちこち噛まれて歯形だらけになっちまうんだろ?」  などと言いつつ、アロイスは丸太を担ぎながらスクワットを繰り返している。珍しく今日は屋外でトレーニングしているようだ。 「んじゃ、ケヤキの丸太でもあげればいいんじゃないか? アレならめっちゃ硬いしな。加工は大変だが、その分頑丈なのはお墨付きだ。ま、うさぎにやるには結構な高級品だけど」 「なるほど。そのケヤキはどこで手に入る? 何なら今から取って来るよ」 「いやいや、やめとけ。あれはアクセル一人じゃ伐採できねぇよ。マジで硬いし、重いから」 「でも、なるべく早く持って帰ってあげたいんだよ。硬いものを齧れないと、ピピもストレス溜まっちゃうし」  そう言ったらアロイスは担いでいた丸太を地面に置き、数回屈伸運動をして、言った。 「安心しなって。ケヤキくらいうちにあるのを分けてやるからよ」 「え、いいのか? ……ありがとう。いつもすまない」 「いいってことよ。その代わり、またおふくろのスープ頼むぜ。アレ食べると元気が出るからさ」  アロイスは小屋の裏手に回り、そこに積み上げている大量の丸太を見せつけてきた。さすがは元木こりというか、木材だけは豊富に持っているようだ。

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