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第1430話
アクセルにはどれがどれだかわからなかったが、木の種類ごとに分けられているらしい。
その中でアロイスは、一番奥に積んである長い丸太を一本選んだ。
「ほらよ、こいつがケヤキだ。重いから気を付けて持って帰れよな」
「ああ、ありがと……」
そう言って受け取った瞬間、ズシーンとした重みが腕全体にのしかかってきた。
「うっ……」
反射的に腰に力を入れて踏ん張る。足腰を鍛えていなかったら、その場で腕ごと潰されていたかもしれない。
「な、何だこれ……! めちゃくちゃ重いんだけど……!」
「そりゃそうだろ。硬いってことは、それだけ中身がギッシリ詰まってるってことなんだからよ。中身がギッシリってことは、木そのものも重いに決まってるよなっ!」
「そ、それはそうだが……この重さはヤバいな……!」
持てないことはないが、ここから家まで運ぶとなるとかなりしんどそうだ。丸太一本くらいならイケるだろうと思って、荷台を持ってこなかったのが間違いだった。
――ど、どうしよう……。アロイスに手伝ってもらうか……?
そう思ったけれど、アロイスは簡単に運んでいたのに自分は一人で運べないというのもちょっと恥ずかしい。手伝って欲しいとお願いするのも気が引けた。
これはもう、引きずってでも自力で持ち帰るしかないか……。
「あ、ありがとう……。とりあえず、これは持って帰るな。後でアニータさんのスープ作って持ってくるから……」
「おう、楽しみにしてるぜ!」
アロイスは、再び小屋の前に戻って別の丸太を担いだ。そして豪快に素振りを始めた。
――ったく、相変わらずの馬鹿力というか……。
さすがに、あんな真似はできそうにない。自分はアロイスやランゴバルトのような、パワー系の戦士ではないのだ。
筋力で負けている分、テクニックや俊敏さでカバーしないと……。
――なんて思ったけど、やっぱりある程度の筋力は欲しい……!
いや、決して筋肉がないわけではないのだが。それにしたってこの丸太は重すぎる。
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