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第1433話
「それはコニーが頼むからこそのような気もするが……何か秘訣でもあるのか?」
「秘訣ですか? いえ、特にありませんけど……ランゴバルト様は最初からあんな感じですし」
「ええ……?」
じゃあ、自分が勝手に誤解していただけなんだろうか。
でも最初の出来事が狩りのアレだったから、なかなかその印象が拭えないというか……。
「……アクセルさんがランゴバルト様と初めて会ったのは、狩りの引率の時だったんですってね?」
コニーがひそひそと話しかけてくる。ランゴバルトに聞こえないよう、声を抑えているみたいだ。
「実はランゴバルト様、あの時ちょっと具合が悪くて。……ああ、風邪を引いていたとかじゃないですよ? 獣化の初期兆候があったんです。獣化ってご存じですよね? 理性を失ってだんだん獣っぽくなってしまう現象です」
「あ、ああ……知ってるよ……」
それで兄が一時期施設送りになったから、忘れたくても忘れられない。家で突然兄が暴れ出した時は、本当に衝撃的だったしびっくりしたものだ……。
「それで、いつもよりピリピリしてキレちゃったみたいなんですよね。何かこう、殺戮本能が抑えられなくなったというか。これは初期症状の戦士あるあるなんですけど、上位ランカーがそんなことになるとほとんど手が付けられなくなっちゃうので。だから落ち着いた時を見計らって、施設で治してきてもらいました」
「そ、そうだったのか……」
「はい。なのでランゴバルト様は、本当は優しい方なんですよ。ちょっと不器用なせいでなかなか伝わりませんけど、それでも、丸太に潰されそうになっている下位ランカーを見捨てるようなことはしません。死合いでは本当に容赦ないですが、それ以外ではごくごく普通の方ですよ」
「…………」
「僕はそんなランゴバルト様が好きで、身の回りのお世話をさせていただいているんです」
「……そうか」
純粋なまなざしを向けてくるコニーを見ていたら、きっと彼の言うことが正しいんだろうなと思えてきた。
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