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第1434話

 あの狩りの一件以来苦手意識を持ってしまっていたけれど、本当はごく当たり前の人間性を持っているのかもしれない。  ――まあ、最初がアレだったから、慣れるには当分時間がかかりそうだけどな……。  そんなことを考えながら、アクセルは家まで戻った。  ランゴバルトは担いでいた丸太を庭に放り投げると、こちらを見据えて言った。 「こんなものも運べないようじゃたかが知れているが、せいぜいトーナメント初戦で敗退しないよう足掻くんだな」 「は、はい……ありがとうございます」 「それとフレインに伝えておけ。今度模擬戦を放棄したらお前の家まで押しかけるぞ……とな」 「えっ!? あ、はい! 必ず……!」  最後にとんでもない伝言をして、ランゴバルトとコニーは去っていった。  一拍遅れて、兄がベランダから庭を覗いてくる。 「ありゃ、お前帰ってきてたのか。なんかドーンって重い音がしたから、何事かと思ったよ」 「ああ、すまない……。この丸太が思った以上に重くてな……。ランゴバルト様に手伝ってもらっていたんだ」 「おや、ランゴバルトに? それはまた珍しいこともあるものだねぇ」 「俺も意外だったよ。……そんなことより兄上、ランゴバルト様との模擬戦、何度も放棄してるんだって? ランゴバルト様が文句言っていたぞ」  そう言ったら、兄は少しバツの悪そうな顔になった。ちょっと苦笑しこう反論してくる。 「私は別に、模擬戦を約束したわけじゃないよ。ランゴバルトがいつも『俺と戦え!』って言ってくるから『はいはい』って流してるだけで」 「その『はいはい』を、ランゴバルト様は合意だと受け取ったんじゃないか? 毎日じゃないんだし、一度くらい付き合ってあげればいいのに」 「やだよ、キリがないもん。それに、ランゴバルトとの模擬戦は普通に棺行きもあり得るんだよ? お前、死合い以外で私が棺に入っちゃってもいいの?」

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