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第1438話

「ああ、そうだ! 余計なことをしてランゴバルト様に殺されかけていた新人がいたな! まだ生きていたとは驚きだぜ」  そう言われてしまい、アクセルは苦笑いで答えた。  確かに自分は変な罠によく引っ掛かるし、命の危機に晒されたことだって数え切れないほどある。その度に兄や周りの人に助けてもらい、何とか生き延びられたという感じだ。  赤の他人から見れば、自分はきっと真っ先に死んでしまうタイプなのだろう。ヴァルハラにいるから今もこうして生きていられるけれど、そうじゃなかったら意味のわからないところで無駄死にしていたかもしれない。 「あの、それでショーンさんは今回のトーナメントの意気込みはいかがですか?」 「意気込み? そりゃあ死合いである以上は真面目にやるつもりだが……何でそんなこと聞くんだ?」 「いえ、その……中には『優勝なんて別に狙ってない』という人もいますので。ショーンさんはどうなのかなと思いまして」 「ああ、そういうことか。別に俺も、無理して優勝しようとは考えてないな。できたら万々歳だし、できなくてもそれはそれでいいやって感じだ」  ショーンがもう一度ハンマーを担ぎ上げる。 「他の戦士も、だいたい同じようなものだと思うぞ。優勝した時の褒美が、賞金とか豪華な食事とかなら別だが、もらえるのは上位ランカーへの挑戦権だけ。ほとんどの戦士にとっては、あまり意味がないんだよな。上位七名の戦士はマジで化け物レベルだから、あんなのと普通に戦っても勝てるわけないし。仮に何かの奇跡で勝利できたとしても、そんなランクすぐにひっくり返されちまうし。それだったら、地道にランクを上げて行った方が確実だろ」 「た、確かにそうですね……」 「きみがどうしても優勝したいって思ってるなら、明日は俺の不戦敗でもいいぞ? 初戦なら俺にとっても、たいしたリスクじゃないしな」 「え……」  そう言われて、少し気持ちが揺らいだ。

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