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第1441話
ただの模擬戦なのに、どれだけ白熱していたんだあの二人は。兄上も面倒臭がっていた割には、思いっきり楽しんでいるじゃないか。
まあランキング二位と三位が戦ったら、お互い無事で済むはずないのはわかっていたけれど……。
はぁ……と軽く溜息をつき、アクセルは一応聞いてみた。
「てことは、明日の朝には間に合いませんよね……?」
「間に合うわけないだろ。早くても三日はかかると思うぞ」
「ですよねー……」
がっくり肩を落とし、とぼとぼと家に戻った。
――兄上、死合いには来られないのか……。残念だな……。
兄が見ていてくれると思えば、気合いも入るし頑張れたのだが。こんなことなら、ショーンとの戦いは不戦勝でもよかったかな……などと考えかける。
というか、何も弟の死合い前日に模擬戦などやらなくてもいいだろう。白熱するのは目に見えているんだから、せめて死合いが終わってからにすればいいのにと思う。
「……はあ、もう。しょうがないな」
残念だが仕方ない。兄が復活した際に胸を張って「勝ったぞ」と言えるように、何としても勝利しなくては。
アクセルは急いで家に戻り、ピピと自分の夕食を用意して早めに床に就いた。
隣のベッドは空っぽだったが、意外にもすぐに眠りにつくことができた。
***
翌日。アクセルはいつもより早めに起きて軽く庭の走り込みを行った。死合い前に体力を使ってしまうのはご法度なので、ウォーミングアップ程度に留めておいた。
「ぴー」
ピピも起きてきて、鍛錬の様子を近くで見守ってくれる。
アクセルは汗を拭いつつ、ピピに注意事項を話した。
「おはよう、ピピ。今日は死合いがあるんだ。勝って帰って来られるように頑張るからな」
「ぴー♪」
「でも万が一負けちゃったり、勝っても瀕死の重傷を負ったら棺行きになってしまうかもしれない。兄上も今棺で寝ているし、そうなったら数日この家には誰も帰って来ない可能性がある。そうなると、しばらくピピの食事は用意できなくなっちゃうんだ」
「ぴ……」
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