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第1444話※
『死合い開始まで十秒、九、八……』
ヴァルキリーのカウントダウンが始まる。
アクセルは小太刀の柄を握り、いつでも抜刀できるように身構えた。
『三……二……一……スタート!』
合図と同時に二振りの小太刀を抜き放ち、一気に間合いを詰めてショーンに斬りかかった。
ガキン、と金属同士がぶつかる音がして、振り下ろした小太刀をハンマーで受け止められる。
「そぉりゃ!」
小太刀を受け止めたままハンマーを振り回され、達磨落としのごとく横に吹っ飛ばされた。吹っ飛ばされている空中で体制を立て直し、ズザザ……と地面に足をついたのと同時に、再びショーンに向かって突進する。
――パワーでは勝てないんだ。だったら手数で勝負するしかない。
右手は上から、左手は横から小太刀を振り切る。
するとショーンは上からの小太刀をハンマーで受け止め、横からの小太刀は右の腕で触接受け止めてきた。ガン、という固い手応えを感じた。少なくとも腕を切った時の手応えではなかった。
――これは……!?
破れた服の袖から、金属製の籠手がチラリと見えている。どうやらショーンは、服の下に籠手を装備していたようだった。言われてみれば、全体的にシルエットがもっさりしているようにも見える。
ショーンの衣装はカッチリした軍服風なので、身体のラインは見えやすい。それがもっさりしているということは、籠手の他にも服の下に何か装備していると考えてよい。この分だと、胴体にも薄い鎧を巻いている可能性が高いだろう。
となれば、腕や胴などへの攻撃はほぼ無効となる。有効なのは剥き出しの首、あるいは間接のみだ。
――そうとわかれば……!
アクセルは左の小太刀を素早く引っ込め、もう一度横から武器を振るった。今度は確実に首を狙った。
「そう簡単にいくかよ!」
逆にハンマーで豪快に殴り飛ばされ、近くの壁に叩きつけられる。
受け身は取ったつもりだが思った以上に強い力で殴られてしまい、一瞬視界がくらっとなった。
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