1451 / 2201

第1451話(フレイン視点)

 とはいえ……と、フレインは思う。  ――アクセルは私がいなくても、ちゃんと結果を出してこられるんだよなぁ……。  死合いを見逃したのはフレインにとって致命的ミスだったが、アクセルにとってはさほどの影響はなかったらしい。  多少はがっかりしただろうが、それでも戦力に変化はなかったのだ。兄の応援などなくても、自分一人で戦えることを証明してしまったのだ。  弟の勝利は喜ばしいことなのに、複雑な気持ちがこびりついて離れない。 「……ねえ、ジークは弟や妹がいっぱいいたんだよね?」 「ああ、いたな。それがどうかしたか?」 「じゃあ、下の子たちが優秀すぎて『俺なんて必要ねぇな』って思ったことない? そう思った時はどうしてる?」 「なんだ、いつものメンヘラか? 生憎、俺は相手する気はないから他を当たりな」 「そんな冷たいこと言わないでよ……。話を聞いてくれるだけでいいからさ」 「お前さんの場合はそれだけじゃ終わらないだろ」 「ホントにそれだけにするよ。アクセルにまた『浮気だ!』って言われたくないもん」  そう言い切ったら、ジークはやれやれと頭を掻いた。そしていつもの口調でこんなことを言う。 「どうもしねぇよ。弟や妹が俺より優秀なのは喜ばしいことだろ。それだけ自立してるってことだし、べったり寄りかかられるより楽じゃねぇか。手もかからないしさ」 「それはそうなんだけどね……」 「ま、お前さんはその『手がかからなくなる』のが嫌なんだろうけどな。兄として弟を世話できなくなったら、自分は何のために存在しているのかわからん……ってことなんだろ?」 「よくわかってるじゃない」 「ホント、めんどくさいヤツ。お前さんも弟くんもいい歳なんだから、いい加減兄弟離れしろよ」 「うーん……やっぱりその方がいいのかなぁ。今まで何度か試みようとしたけど、結局上手くいかなかったんだよね」  と、苦笑をこぼす。

ともだちにシェアしよう!