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第1452話(フレイン視点)
「自分でも、ダメなことはわかってるんだよ。アクセルは可愛い弟だけど、あくまで私とは別人格。あまり縛り過ぎて行動を制限させてもよろしくない。強くなって欲しいけど手がかからなくなるのは嫌だ……なんて、私の勝手なエゴだもんね。だから私は、兄として純粋にあの子を応援しなきゃいけないんだ」
「そこまでわかってるのに、何でできないんだか。最早病気だな」
「しょうがないじゃない。アクセルは私の全てなの。離れていかれたら私は生きていけないんだよ」
「……はいはい。だったらもう、それでいいんじゃねぇか? 弟くんも子供じゃないんだし、兄貴がメンヘラでも受け止められるくらいの器量はあるだろ。それでお互い支え合いながら、永遠に生きて行けばいいじゃねぇか。周りに迷惑かけなきゃ誰も文句言わねぇだろ」
「そう、だね……。それが一番平和かな」
「だいたい、今回の出来事だってそんな極端な話じゃないだろ。弟くんは単に『兄上に勝利の報告をしたい』って一心で頑張っただけだと思うぞ。お前さんが死合いを見ていなくても、ちゃんと胸を張って『勝ちました』って言いたかっただけだ。お前さんがいるとかいないとか、そういう問題じゃないと思うね」
「……まあ、そうか」
「お前さんの弟はそれなりに優秀だよ。毎日しっかり鍛錬する真面目さもあるし、上の人からいろいろ吸収しようとする貪欲さもある。でも、それと『手がかかるかどうか』はまた別問題だ。強くなったからって根本的な性格は変わらないし、そそっかしいところもそのままだろ、きっと。だから必要以上に心配することはないと思うぜ? 仮に弟くんがランキング一位になったとしても、すぐ罠にかかっちまうところは健在だろうな」
「……ふふ、確かにそうかも」
話しているうちに、少し気分が軽くなってきた。
確かにジークの言う通り、弟のそそっかしい面は強くなっても変わらない。そういう意味では、保護者 の存在はまだまだ必要不可欠であると言える。
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