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第1454話(フレイン~アクセル視点)
「それに、ユーベルがくれるお菓子は全部美味しいからー。ついいっぱい食べちゃうんだよねー」
「……だからと言って、人の物にまで手を出していいわけではありませんよ。そこは常識で考えてください」
やれやれ……と呆れながら、ユーベルは腰を上げた。
「あなた達もお茶をしに来たのでしょう? 今用意してきますので、適当に座って待っていてください」
「ありがとう。ついでに夕飯もご馳走してくれると嬉しいな」
そう言ったら、ユーベルはますます呆れた顔でこちらを見た。
「はぁ? あなたもタカりに来たんですか? 上位ランカーともあろう者が、何をしているんだか……」
「私がタカるのはユーベルに対してだけだよ。きみが貴族サマじゃなければ、こんなこと言わないって」
「……まあいいでしょう。この際ですから、とっておきのフルコースを馳走してあげますよ」
結局ユーベルは、様々な料理やお菓子でこちらをもてなしてくれた。彼の私設歌劇団の出し物まで見せてくれて、久しぶりに華やかな時間を過ごすことができた。弟がいない寂しさも紛れた。
***
久しぶりに夢を見た。
現実ではないとわかっていても、アクセルにとっては一番嫌なタイプの夢だった。
「お前は私がいなくてもちゃんと戦えるみたいだね。もう一緒に暮らす必要もないかな」
唐突に兄がそんなことを言ってくる。
アクセルは怪訝に聞き返した。
「え……何を言ってるんだ? それとこれとは話が別だろう?」
「うーん、でも友人にもそろそろ弟離れしろって言われちゃったし。いい機会だから離れて暮らすのも悪くないかなって」
「な、なんで……? 俺はそんなの嫌だよ。せっかくヴァルハラに来たのに、何でまた兄上と離れて過ごさなきゃいけないんだ」
「そんな深刻に考えることもないでしょ。ヴァルハラにいることは変わらないんだし、初期の頃は離れて暮らしてたじゃない。その頃に戻るだけだよ」
「そっ……」
「じゃあアクセル、元気でね」
「ま、っ……!」
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