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第1473話*

「う……あ、兄上、何……を……?」  眉間にシワを寄せていたら、急にひょいと身体を横に抱き上げられた。  背中に敷いていた両腕がようやく楽になったが、拘束そのものを解いてくれる雰囲気ではなく、戸惑いながら兄を見上げる。  すると兄は、にこりと微笑みながらこう告げた。 「ここでするのは嫌なんでしょ? だったらお風呂場にでも行こうかと思って。あまりベッドを汚すと後始末も大変だし」 「えっ……!? そ、そういう問題じゃ……」 「じゃ、このまま連れて行ってあげるね」 「兄上ぇ……!」  アクセルの言うことなど一切聞かず、兄はそのまま風呂場に向かってしまった。 ***  ……それ以降のことは、あまり覚えていない。  ベッド以上に嬲られ、何度もイかされ排泄もさせられて、結局力尽きてほとんど反応できなかったことは覚えている。  意識もずっと朦朧としていて、どこまでが現実でどこからが夢かもハッキリわからなかった。  ただ、次に目を覚ました時には既に太陽は高く上っていて、完全に寝過ごしてしまったことに気付いて深く反省した。おまけに腰が重くてロクな鍛錬ができず、その日は軽いストレッチで終わってしまった。そこもまた反省ポイントだった。  ――はぁ、もう……盛り上がってる場合じゃないのに。  初戦に勝利して終わりではない。トーナメントはまだ続いているのだ。次の死合いが行われるまでまだ猶予はあるが、その間にしっかりトレーニングをして戦う準備をしておきたい。 「はい、ご飯できたよ」  トーナメント表と睨めっこをしていたら、兄が軽食のパンとスープを運んで来てくれた。そこまで食欲がなかったので、軽めのものがいいとリクエストしたのだ(反面、兄は自分だけがっつりステーキを焼いていたが)。 「次の相手は誰になるんだい?」  兄がステーキを切り分けながら尋ねてくる。  アクセルもパンをスープにつけて、口に運びつつ答えた。

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