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第1484話

 ただ、今回の仕事はあくまで「調査」であり、スレイプニルを狩ることではない。それならワンチャン、周囲の散策だけで任務完了となる可能性もある。  ――いやでも、散策だけで済んだらとっくに帰ってきているよな……。やっぱり何かあったんだ……。  念のために、オーディンの館に行って棺係にリストを確認させてもらった。  リストの中に兄の名前はなく、棺に入っているわけではないことがわかった。  ――じゃあ、まだスレイプニルの山とやらにいるってことか……。  顔を上げて山の方を見る。  既に周囲は暗くなっているので、山も真っ黒で形だけしかわからない。  探しに行きたいのはやまやまだが、こんな時間に山に入っても暗くて何も見えないだろう。下手したら自分が遭難してしまうかもしれない。  だけど……だけど、もし兄がピンチになっているのだとしたら、このまま放っておくわけにはいかない。一刻も早く助けなくては、取り返しのつかないことになってしまう。 「……よし」  アクセルは一度家に戻り、小屋で留守番していたピピに声をかけた。 「ピピ、これから兄上を捜しに行くんだ。一緒に行かないか?」 「……ぴ?」 「実は兄上、まだスレイプニルの山ってところにいるらしいんだよ。こんな時間まで帰って来ないってことは、何かあったとしか思えないんだ。かといって俺一人じゃ不安だから、山が得意なピピがついて来てくれると心強いんだが……」  そう言ったらピピは、小屋から出てきて「そういうことなら」と背中を差し出してきた。  頼られるのが嬉しいのか、夜にも関わらず少し気合いが入っているようだった。 「ありがとう、ピピ。じゃあ一緒に行こう。俺が無茶をしそうになったら止めてくれよ?」  うんうん、と頷いているピピに乗り、アクセルは夜の山に向かった。  思った通り山の中はほとんど光が入らず、一メートル先の景色すらよく見えない。このままでは捜索は不可能だ。 「ええと、こういう時は……」

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