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第1489話

 いつもの調子で当たり前に明かりをつけたところ、まだサイジの実が利いていたらしく、 「うわっ……!」  あまりに眩しすぎて条件反射に消してしまった。瞳孔が開きまくって、通常の明かりがものすごく強烈に感じた。目が瞑れるかと思った。  ――しょうがない。どうせ今日はもう寝るだけだからな。真っ暗なままでいいか。  そう思って、アクセルは就寝着に着替えてベッドに入った。兄のベッドが空っぽなのが何だか物悲しかった。  明日は早く起きて兄を捜しに行かなきゃ……。 「……!?」  浅い眠りのままうとうとしていたら、何者かの気配を感じて一気に目が覚めた。  家の中ではなく、庭から誰かが入ってきたような気がしたのだ。  ――何だ……? 誰かいる……?  最初は獣かなと思ったけれど、ピピが騒いでいないから狼の類いではない。赤の他人でもないだろう。おそらく、ピピが知っている人物である。 「…………」  とりあえず誰が入ってきたのか確かめねば……と思い、アクセルは急いでベッドを抜け出してベランダから庭に下りた。  しっかり武器を携帯し、いざという時にはすぐに抜刀できるよう身構える。  ――ピピは……?  念のためピピの小屋を確認したところ、ピピは特に動じることなく眠り続けていた。  ピピはもともと臆病なので、不審な人物が近づいて来たら真っ先に気付く。にもかかわらず呑気に眠っているということは、怪しい人物ではないということだ。それどころか、かなり親しい人物の可能性がある。  ――こっちか……?  気配を辿った結果、家の裏にある武器庫に行きついた。その人物は中に忍び込み、何かゴソゴソ漁っている。  何だ……? 一体誰が何をして……? 「…………」  ギュッと小太刀を握り締め、覚悟を決めてバーンと扉を開ける。そしてその人物と対峙した。 「え……?」  そこにいたのは、アクセルにとってあまりに予想外の人だった。 「兄上!?」  ふわっとした金髪に白い衣装。左側だけの片マントを羽織り、腰に愛用の太刀を下げている。間違いなく兄・フレイン本人だ。

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