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第1490話
「兄上、無事だったのか……よかった……」
最初にホッと胸を撫で下ろす。事情はどうあれ、ちゃんと帰ってきてくれたことが何より嬉しかった。
だが、その後すぐに違う疑問が浮かんでくる。
「というか、帰宅早々何してるんだ? 家にも上がらず武器庫に入るなんて……」
「必要な道具を探してただけだよ」
と、兄が短く答える。
「お前は早く家に戻りなさい。ちゃんと寝ないと明日寝不足で動けなくなる」
「……? それを言うなら兄上だって……」
「私は遺体を回収しなきゃいけないんだ。あのまま放っておいたら、蘇生もできなくなるからね」
「遺体回収?」
意味がわからず、反射的に聞き返す。
だが兄はそれには答えず、巨大な大風呂敷を何枚も抱え、そのまま武器庫を出ようとした。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。兄上は一体何をしようとしているんだ?」
アクセルは兄の腕を掴んで止めた。
こんな不可解な行動をとられたまま、何の説明もなしに出て行かれたらもっと心配になってしまう。せめて行き先くらいは教えて欲しい。
すると兄はいつもより早口に答えた。
「スレイプニルの山だよ。そこの遺体を回収に行くんだ」
「え、今から行くのか? 遺体回収なら朝になってからでもいいんじゃないか? その方がやりやすいだろう?」
「朝になったら多分遺体はなくなっているよ。全部あそこの神獣に食べられてしまう」
「そ、そうなのか……? 神獣って、スレイプニルだよな……?」
「それはボスだけど、他の神獣もうようよしてるんだよ」
やんわりと腕を振り払い、兄は荷物を抱え直した。
「朝には戻るから、お前は家でおとなしくしていなさい。くれぐれも、私を追って山に入ろうなどと考えないように」
「いや、俺も手伝うよ。遺体を回収するなら、人出は多い方がいいだろう?」
「だめ。お前は家にいなさい」
「何で」
「お前を危険な目に遭わせたくないからに決まってるだろう。お前はあの山がどれだけ恐ろしいかわかってない」
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