1497 / 2206

第1497話

 二人で家に戻り、兄は早速脱衣所で汚れた衣装を脱ぎ捨てた。 「あー……なんかお腹空いたなぁ。昨日の夜から何も食べてないんだよね。お前、何か作ってくれない?」 「あ、ああ……昨日の鹿肉のシチューでよければすぐ食べられるぞ」 「じゃあそれで。大盛りでパンもいっぱいつけてね」  そう注文をつけ、兄は風呂場に入っていった。  アクセルは言われた通り鹿肉のシチューを温め直し、深めの皿にたっぷり盛ってバゲットもたくさんスライスした。  そうやって食事の準備をしていたら、自分の腹も「ぐぅ……」と鳴り始めた。  ――そう言えば、俺も昨日からほぼ何も食べてないんだよな……。兄上が帰って来ないことに気を取られて忘れていた……。  自分が食べていないなら、ピピも食事してないじゃないか……と思い至り、慌てて追加の野菜スープを作る。  でもこれだけだと足りないかもしれないから……と、簡単なステーキやサラダ、目玉焼きを作っていたら、何だかんだでかなり豪華な食事になってしまった。空腹の時に料理すると、ついたくさん作り過ぎてしまう。 「わあ、なんかいっぱい食事できてる」  テーブルに食事を並べていたら、兄が風呂から出てきた。血の汚れはすっかりとれ、代わりにほのかなシャンプーの匂いがした。 「ふふふ、いくらでも食べられそう。いただきまーす」  早速席に着き、食事にありつく兄。  アクセルもピピに食事を出してから、朝食をとった。  しばらく兄は夢中で食事を平らげていたが、シチューとステーキをあらかた胃に入れたところでようやく口を開いた。 「あーあ……それにしても報告書どうしよう。あんなの書きようがないんだけど」 「ああ、ヴァルキリーに提出しなきゃいけないのか……。報告書より要望書の方を出すべきだと思うが……」 「要望書どころか訴訟状レベルだよ。いくら私たちに嫌がらせしたいからって、さすがに今回のことは度が過ぎている。そろそろ本格的に訴えを起こすことも考えないと」 「……嫌がらせ? どういうことだ?」

ともだちにシェアしよう!