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第1498話

 合点がいかなくて聞き返すと、兄は食事を続行したまま答えた。 「ほら……お前がヴァルハラに来る前に私たち、自主的に革命起こしたって話したじゃない? あまりに治安が悪かったから上の連中を総とっかえしたって」 「ああ、そうだな。それでヴァルキリーから逆恨みされてるってことまでは知ってる」 「その逆恨み、未だに続いてるみたいなんだよねぇ……。ヴァルキリーたち、私たちが上位に居座ってるとあまり言うこと聞かないからって、あの手この手で失脚させようとしてくるんだよ。どうにかして自分たちに都合のいい、別の戦士を上位に据えたいんだね」 「……それも勝手な話だな。そもそも兄上たちが革命を起こしたのは、ヴァルキリーたちがきちんとヴァルハラを管理していなかったせいじゃないか。恨まれる筋合いはない」  そう考えると、ヴァルキリーたちがかなり無茶苦茶なことをしているように感じる。  自分たちの管理不手際を棚に上げて今の上位ランカーに恨みを抱くなんて、一体どういう神経をしているのか。  一人で怒っていると、兄はしれっとこう言った。 「ヴァルキリーたちはプライド高いからさ。戦士(エインヘリヤル)なんて、『戦うしか能がない元人間』としか思ってないんだよ。そんな連中に牙を剥かれたから、プライドが傷ついちゃったんだね」 「……くだらないプライドだな。というか、ヴァルハラは俺たちが暮らす場所なんだから、ヴァルキリーが管理しなくてもいいんじゃないか? 俺たちが自主的にいろいろ管理する方が余程平和だろう」 「普通はそう考えるところだけど、ヴァルキリーはそうじゃないんだろうよ。とにかく、今回の件は明らかにやりすぎだ。ジークやユーベルにも相談して、後でまとめて訴訟状を出そうかと思ってる」 「ああ……その方がいいかもな」  訴訟状を出したところで、ヴァルキリーたちが素直に受け取るかはわからない。  けれど、何もしないまま嫌がらせを受け続けるよりはずっといい。

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