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第1499話
目の前の食事を平らげ、兄はゆっくりコーヒーを飲んで言った。
「そんなことより、お前は引き続きトーナメント頑張りなさいね。第二試合は数日後でしょ? 今度こそ応援に行くから、絶対勝ってね」
「わかってるよ。そろそろコニーとレンジさん、どっちと戦うかわかると思うし……それ相応の準備をしないとな」
食事を終え、アクセルは空になった食器を全部キッチンで洗った。かなりたくさんの料理を作ってしまったので、皿の量もかなりの枚数になった。
「兄上はこの後どうするんだ?」
「ちょっと仮眠しようかな。昨日からずっとぶっ続けで動いてたからさすがに眠くなってきた」
「そうか、お疲れ様。洗濯とかは俺がやっておくから、ゆっくり休んでくれ」
「ありがとう。夜になっても起きて来なかったら起こしてね」
そう言って、兄は一人寝室に向かった。
アクセルは脱衣所の籠を回収し、ついでに溜まっていた他の洗濯物も全部籠に放り込んで魔法のドラムに入れに行った。
血で汚れた兄の服と自分のトレーニングウェア、就寝着や枕カバーなどを次から次へとドラムに突っ込む。そして適当に洗剤を入れて蓋を閉め、ポチッとボタンを押したところで背後から声がした。
「おや、随分と雑な洗濯方法ですね? 衣服にはそれぞれ適切な洗い方があるんです。そんな洗い方では服が泣きますよ」
「……えっ?」
振り返って驚いた。そこには、洗いたての衣服を抱えたユーベルがいたのだ。「洗濯物が最も似合わない戦士ランキング」を開催したら、おそらくぶっちぎりで一位をとるであろう。
「ユ、ユーベル様……まさかこんなところにいらっしゃるなんて……」
「おや、わたくしがいてはいけませんか?」
「いえ、そういうわけではないんですが……こういった洗濯などの家事は、全部下の者に任せているのかと思っていました」
正直にそう言ったら、ユーベルは片眉を上げて答えた。
「自分にとって大事な衣装は全て自分でやっています。普段着などは別ですがね」
「はあ、そうなんですか……」
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