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第1500話

「そんなことより先程の洗濯物、全部まとめて入れてしまって大丈夫なんですか? フレインのマントに色移りしそうですが」 「……え? あっ、やば……!」  慌ててボタンを押し直し、ドラムを停止させる。そして急いで蓋を開け、兄のマントと赤いクッションカバーを取り出した。  ――う……微妙に色移りしている……。これはもう捨てるしかないかな……。  汚れはもちろんだが、ところどころ破けているので綺麗に洗濯したところで元の状態には戻らない。  洗濯したら上手いこと繕おうと思っていたけれど、正直これ一枚を修復する手間をかけるくらいなら、新しいものを仕立て直した方が手っ取り早いのではなかろうか。  仕方なくアクセルは、マントだけ籠に戻して再度ドラムを回した。後は洗い上がるのを待つだけだ。 「ところでユーベル様は、最近ヴァルキリーから無茶な仕事を振られたことはないですか?」 「何です、唐突に。わたくしの仕事が、あなたに何か関係あるのですか?」 「いえ、実は……」  アクセルは簡単に話して聞かせた。  兄・フレインが新人を引き連れて「スレイプニルの山」の調査するよう命じられたこと。ヴァルハラに来たばかりの新人には難しいからと意見したのに、仕事内容が覆らなかったこと。結果、多くの新人が山で命を落とし、無惨な肉塊になってしまったこと。その責任を兄に押し付けてくるのではないかということ……等々。 「ああ、その話ですか。それなら今に始まったことではありません」  と、ユーベルが軽い息を吐いた。 「今までも、どう考えても無茶な仕事はいくつもあったんです。その度に意見をしてきましたが、覆りませんでした。そして無駄な始末書を書かされ、ランクもいくつか落とされたものです。もっとも、死合い結果等ですぐに元通りになりますけどね」 「そうなんですか……」 「まったく、仮にもオーディン様の娘たちともあろう者がこのようなくだらない嫌がらせを続けるなど……品格を疑いますね。フレインはどうにでもなりますが、巻き込まれた新人は気の毒と言わざるを得ません」

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