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第1504話
まあ好きにさせとこ……と思い直し、アクセルはピピと二人で食事することにした。じっくり煮込んだ肉野菜スープを与えたら、ピピはとても喜んだ。
***
翌朝。アクセルはいつもとほぼ同じ時間に起床した。
ふと隣を見たら兄のベッドが空になっていた。自分より早く起きているのは珍しい。
――まあ、昨日あれだけ寝てたからな。
パタパタとベッドメイクをし、ついでに兄のベッドもピシッと直してやった。そして朝のランニングをしに庭に出た。
「あ……」
そこでは兄が一足先に汗を流していた。既にランニングは終えたのか、右腕一本で太刀をぶんぶん振り下ろしている。かなりスピードのある片手素振りだったが、太刀筋が一切ブレていなかった。さすが上位ランカーは、そういった細かいテクニックでも群を抜いている。見惚れてしまった。
「おや、おはようアクセル」
兄が手を止め、こちらを振り返る。
アクセルは兄に近づき、その場で準備運動のストレッチを始めた。
「今日は早いんだな」
「うん、いっぱい寝たら目が覚めちゃった。いや~よく寝たなぁ」
「……まあ、昨日の昼間から寝てたからな」
「ところで、次のトーナメントの相手はコニーくんだったね。ランゴバルトの付き人だっけ? 頑張ってね」
「え? もう決まったのか? 早いな……」
本当はコニーとレンジの死合いは今日行われるはずだったのだが、前の死合いがさっさと終わってしまったせいで予定が繰り上がったらしい。それで昨日のうちに結果が出たのだそうだ。
「ということは、弓矢を使う相手と戦わなければいけないのか……。ちゃんと対策しておかないと……」
「まあ、そこはいつも通り戦えばいいんじゃない? ぶっちゃけ、弓矢は一対一の死合い向きじゃないからね。遠距離から一斉射撃されるわけじゃあるまいし、そこまで心配しなくて大丈夫だよ」
「……兄上にとっては楽勝かもしれないけど、俺は油断してたら負けるんだよ」
腕や腿の筋肉を伸ばしながら言う。
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