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第1507話

 正面から訪ねるのはちょっと勇気が必要だったので、庭外から様子を窺ってみた。何かしら鍛錬している音が聞こえていたので、ちょうどいいと思ったのだ。 「……って、え?」  だが、その光景を目にしたら度肝を抜かされた。  ――ちょ、え……? 何だコレ……?  開けた闘技場に、矢の雨が降り注いでいる。上からだけではなく横からも、無数の矢が飛び交っていた。  しかも矢を放っているのはコニーただ一人。複数人で乱れ撃ちしているのではなく、たった一人で間髪入れず早撃ちしていた。  そんな状況で、狂戦士になったランゴバルトが回避の鍛錬をしている。四方から飛んでくる矢を躱し、時には叩き落したりして華麗に攻撃をかいくぐっていた。 「…………」  さすがに衝撃を受け、口がポカンと開いてしまう。ランゴバルトの回避能力はともかく、この矢を全部コニーが撃っていることが一番の衝撃だった。ここまで早撃ちができるなんて思わなかったし、決して闇雲に乱れ撃ちしているわけではないこともわかった。放たれた矢が全てランゴバルトに向かって飛んで行っていることが何よりの証拠である。  ――こ、これはかなりヤバいかも……。  だんだん冷や汗をかいてきた。こんなの死合いでやられたら、躱しきれる自信がない。狂戦士モードになったとしても、全身ハチの巣にされて動けなくなるのがオチなのではないか。  これはマズい。もっと回避率を上げないと絶対勝てない……。 「何をコソコソ盗み見ている、雑魚が」 「はっ、はひッ!?」  急にランゴバルトに手斧を投げつけられ、アクセルは反射的に武器でそれを弾いた。危うく頭が真っ二つになるところだった。  ――ひえぇ……やっぱりランゴバルト様、怖いって……。  コニーは「優しいですよ~」とか言っていたけれど、優しいのはコニーに対してだけだと思う。いや、許可なく盗み見ていた自分もよくないけど……だからって、問答無用で殺そうとしなくてもいいのでは……。

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