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第1508話
「あら、アクセルさんじゃないですか。ごきげんよう」
コニーが連射を止めてこちらに目を向ける。ほとんど息が上がっておらず、いつも通りの涼しい顔をしていた。その意外すぎるスタミナにも舌を巻いた。
「今日はどうかなさったんですか? ランゴバルト様に何かご用時でも?」
「あ、いや……コニーの様子を窺いに……」
「僕の? 珍しいですね? うちを訪ねてくる人は、大抵ランゴバルト様にご用があるのですが」
「い、いや……ランゴバルト様に用事なんて、恐れ多いです……」
チラッとランゴバルトの顔色を窺ったところ、ものすごい目つきでこちらを睨んでいるのがわかった。視線だけで相手を殺せそうな勢いだった。おそらく、トレーニングを邪魔されてお怒りなのだろう。
いやもう冗談抜きで殺されそう……と内心ビビりつつ、アクセルはコニーに聞いた。
「ええと……それで、次の死合いはコニーと戦うことになるわけだが……その弓を使うんだよな?」
「ええ、そうですね。僕はこれしか扱えませんので」
「だ、だよな……。俺もいつもの小太刀を使うつもりだったんだが、今の射撃を見ていたらそれだけじゃ勝てない気がしてきた」
「あら、そんな心配しなくても。僕の射撃はあくまでランゴバルト様の回避訓練のためのものなので、死合いでは基本的に使わないですよ?」
「……え、そうなのか?」
「ええ。これ、体力も集中力もかなり使い倒しますからね。狙いをつけながら連射するのって、結構大変なんです」
コニーが弓を下ろして言う。
「というか、アクセルさんが優勝を目指しているなら僕は不戦敗でも構いませんよ? トーナメントで敗退したからって、普段のランクが下がるわけではないですからね」
「いや……。それ、初戦のショーンさんにも同じようなこと言われたけど、そうやって勝ちを譲られるのはちょっと違うと思うんだ。そんな方法で優勝しても意味がないし……やるなら、ちゃんと戦って勝ち上がりたいんだよ」
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