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第1512話
「う……」
ということは、幻聴に悩まされている自分はまだまだメンタルが弱いということか。
――どうしたら兄上みたいな鋼メンタルになれるんだろうな……。
自分のメンタルは豆腐レベルだから、些細なことで不安になったり動揺したりしてしまう。兄のようにもっと、どっしり構えられるようになりたい。
「じゃあ、明日あたり一緒に行ってみようね。丸一日かかるかもしれないから、ピピちゃんの食事を忘れずに」
「あ、ああ……そうだな」
アクセルは早速キッチンに入り、今日の夕食と一緒に明日の分の食事を作り置きすることにした。
食料庫に保存してある肉や野菜を用意し、それを片っ端から切り刻んでせっせと鍋に放り込む。
大鍋いっぱいに具材が切れたところで、少しだけ水を加えてぐつぐつ煮込んだ。鍋いっぱいだった具材も、火を入れることで野菜がくたっとしてくるので嵩が減る。野菜だけでもかなり水分が出るので、加える水も少なくていい。足りなければ後で足せばいいのだ。
スープを煮込んでいる間に、サンドイッチ用の具材も別に切っておく。
――そういや、しばらく兄上とピクニックとかもしてないよな……。
春には花見、秋には紅葉狩りなど、そういうことができたらきっと楽しいなと思う。
でも何だかんだで死合いや仕事、その他の用事で予定が合わないことが多く、ピクニックができたのはほんの数回だ。
たまには何も考えず、ただ平坦な山を歩いて頂上で景色を眺めて帰る……みたいな、平和な日常を過ごすのもいいと思う。
……とはいえ、何故か自分たちの行くところ行くところおかしなトラブルが現れて、結果的にドタバタな日常になってしまうのだが。
――いや、それは俺のせいか。いつも変な方向に進んで罠を発掘してしまうからな……。
これも早く治したい悪い癖である。
怪しいとわかっていても確かめずにはいられなくて、いつもギリギリで兄やピピに助けてもらっている。いい歳をした大人が恥ずかしい。
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