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第1515話

「というかお前、ヴァルハラに来て結構経つよね? なのに、一向に強くならないってどういうこと? ランクは上がっているけど、メンタルは相変わらず豆腐レベルでどうしようもなさすぎる。そんなんでよく今まで生き残れたね」 「っ……」 「もうさ、いっそ戦うのやめた方がいいんじゃない? ヴァルハラに来られた時点で、お前の目的はほぼ達成してるでしょ。ボロ負けではあったけど、『私と戦う』という目標は既に叶ってるし。これ以上、無駄に頑張る必要ないじゃない」 「う……」  それは……確かにその通りかもしれない。  兄と対等に死合いたいというのは、アクセルの勝手な願望だ。その夢に向かっていろいろ努力してきたつもりだけど、今でも全く追い付いている感じがしない。兄に近づけば近づくほど大きな壁が立ちはだかり、衝突しては砕けて落ち込み、まるで成長できていないように思えてしまう。  それはもしかしたら、自分には「兄に追い付くほどのポテンシャル」がないだけなのかもしれない。絶対に叶わないことだから努力しても追い付けないだけで、最初から自分には不可能だったのかもしれない。  それなら自分は、一体何のためにこんな洞窟に入ったんだろう。叶わない夢を追いかけて自分の精神を削ってまで、洞窟を歩く意味があるんだろうか……。 「もう戦うのはやめて、家のことに専念したら? 次の死合い相手のコニーくんだっけ? 彼だって普段はランゴバルトの世話が中心で、滅多に戦わないでしょ。お前もそういう生活の方が合ってるんじゃないかな。お前は家事得意だし、私としても家のことやってくれるなら大助かりなんだけど」 「…………」 「ほら、諦めてもう帰ろう? 私と死合うなんて、お前には大それた夢だったんだよ。叶わない夢を追い続けるより、私とのんびり平和な日常を過ごした方が絶対にいい。鍛錬の時間がなくなる分、ピピちゃんもいっぱいお世話してもらえて喜ぶと思うよ」 「うぅ……」  完全に打ちのめされ、ボロボロ涙が溢れてきた。

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