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第1524話
「そりゃあ、初手で狂戦士モードになるしかないんじゃない? で、狙撃を恐れずに懐に飛び込むと」
「……!」
「どうあっても攻撃を食らうなら、食らうの前提で仕留めるしかないよね。狂戦士モードなら痛みも感じないし、ある程度狙撃されても動けるんじゃないかな」
「……まあ、そうだよな」
「もちろん狙撃されすぎはダメだけどね。でもお前なら、回避しながら懐に飛び込めると信じてるよ」
やはりそれしかないか。他にいい作戦があったら参考にさせてもらおうと思ったが、シンプルに狂戦士モードで特攻するのが一番よさそうだ。
「わかった、ありがとう。何とかそれで頑張ってみるよ」
「うんうん、頑張って。勝ったらお兄ちゃんがご褒美あげるからね」
「は、はい……」
何やら怪しい響きに聞こえたが、あえて想像しないことにしてアクセルはストレッチを続けた。
死合いまで十分身体を解し、いよいよ時間になったのでスタジアムに移動した。自分は戦士専用出入口から、兄は観客専用出入口から。
「それじゃあね。終わったら一番に迎えに行くよ」
「あ、ああ……わかった」
敗北して死んだら迎えに来られないのでは……と頭をよぎったが、すぐに遠回しな「生きて勝ち上がってね」の意味だと気付く。今回は兄も観戦してくれているし、絶対に負けるわけにはいかない。
――よし……!
気合いを入れ直し、アクセルはスタジアム内部に入場した。
既に客席はほぼ満員状態で、会場全体の熱気も相当高まっている。
「ごきげんよう、アクセルさん。今日はよろしくお願い致します」
反対側から入場してきたコニーが、礼儀正しく挨拶してくる。彼は白い小袖に赤い袴、手に弓、背中に矢筒を背負っていた。もちろん矢筒には無数の矢が仕込まれている。
「こちらこそ、よろしく。いい死合いにしよう」
「ええ、もちろん」
穏やかな挨拶を終え、指定の位置に立つ。それと同時に観客も静まり返った。
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