1525 / 2198

第1525話

『ただいまより、第一回トーナメント・グループD・第二戦三組・アクセルVSコニーを行います』  ヴァルキリーのアナウンスが天から降って来る。  その場の張り詰めた空気と、死合い直前の緊張感からすうっと全身に震えが走った。 「…………」  静まり返った客席をチラリと見たら、ロイヤルボックスに兄の姿を見つけた。兄は右手に飲み物、左手にお菓子を持ち、悠々とスタジアムを見下ろしている。  ちなみにランゴバルトは観戦していないようだった。どうやら彼は他人の死合いには興味がないようで、コニーの死合いであっても観戦しないのが普通のようだった。 『死合い開始十秒前……九……八……』  いつものカウントダウンが始まった。アクセルは小太刀の柄に手をかけ、いつでも抜刀できるように呼吸を整えた。 『三……二……一……スタート!』  合図と同時に、こちらに矢の雨が降り注いでくる。  無差別に射撃しているのではなく、確実にこちらを狙って撃ってきていた。  ――それなら……!  兄のアドバイス通り、アクセルは初っ端から力を解放した。 「タアァァァッ!」  狂戦士になりながら相手の懐に飛び込んでいく。  叩き落せる矢は全て叩き落とし、間に合わないものは放置してコニーに向かって突撃した。 「ハアッ!」  二振りの小太刀を振りかぶり、斜めにクロスするように振り下ろす。  一度懐に入ってしまえばコニーは何もできない。弓で小太刀を受け止めるのも不可能だ。  半ば勝利を確信していたのだが、ガキン、と硬いものに受け止められてアクセルは驚愕した。 「もう、さすがにアクセルさんは強いですね。いきなり飛び込んでくるなんて」 「……!?」  コニーが弓の(つる)で小太刀をガードしていた。  普通の(つる)なら一発で断ち切られてしまうところ、鋼鉄の盾に阻まれているみたいにそれ以上切ることができない。  ――何で切れないんだ……!?  至近距離から矢を放たれそうになり、反射的に身体を捻って避ける。  一度距離を取ろうとしたが、間髪入れずに再び矢の嵐に見舞われて、息をつく暇もなかった。

ともだちにシェアしよう!