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第1526話
――いや、落ち着け……! コニーだって、懐に飛び込まれた時の対策くらいしているに決まっている。だったら止められないような攻撃をすればいいんだ……!
矢の嵐を掻い潜り、再びコニーに接近する。そして弓の間を縫うように小太刀を突き出した。
頸部を狙った刃はコニーに上手く仰け反られて躱され、反撃の矢を左肩に受けてしまう。
だが空振りした刃はそのまま風を切り、コニーの頸動脈を浅く斬り裂いた。
「っ……!」
ぷしゅっ、と生温い血液が飛び散る。あと一歩深く踏み込んでいれば致命傷を与えられていたのに……惜しい。
――でもイケる……この調子なら……!
覚醒中は身体能力が格段に上がり、痛覚がなくなり動体視力も向上する。
だが実はそれだけではなく、武器を振るった空気ですら刃にして攻撃することができるのだ。初手で狂戦士モードになったのは、このためでもあった。
もっとも、これは誰でもできる芸当ではなく戦士の中でもかなりの技量がないと不可能な技である。
アクセルも今までずっとできずにいたが、この前洞窟を踏破したことで少し技量が上がったみたいだ。上位ランカーが当たり前のようにやっている技を、自分もようやく使えるようになったのだ。
「もう、本当にアクセルさんはお強い……!」
コニーが一旦斉射を止め、距離を取って首に白いタスキのような布を巻きつけた。巻きつけた途端、白い布が血の色にじわじわ染まっていった。
首は一度切られると、傷が浅くても激しく出血してしまう。なので、早めに止血しないと致命傷になってしまうのだ。
「僕の一斉射撃を受けて長いこと立っていられる人って、実はそんなに多くないんですよ。狂戦士モードになっていたとしても、受けたダメージは変わらないでしょう? それで知らず知らずにダメージが蓄積して倒れていくんです」
言われてみれば、刺さった矢がだんだん邪魔になってきた気がする。
致命的な場所には刺さっていないものの、肩や太もも、脇腹を掠めた矢もたくさんあり、初期に比べて身体の動きが鈍くなっているようだった。
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