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第1527話※

「……まあ、かくいう僕自身、平均的な戦士と比べて体格には恵まれてませんからね。そう長いこと体力が保つわけでもないので」  と、コニーが弓を構える。そして彼の雰囲気もぶわっと盛り上がった。殺気が膨らみ、全身から闘気が迸った。コニーも覚醒して狂戦士モードになったということだ。 「これで決めましょう、アクセルさん……!」 「……ああ、わかった!」  掛け声と共に、アクセルは一気に距離を詰めた。  だがコニーもそう簡単に近寄らせてはくれず、先程より更に激しくこちらを斉射してくる。狂戦士モードになっているせいか、実際の矢を避けても空気が身体に突き刺さり、至るところから出血していくのが横目に見えた。  痛みは感じないけれど、負傷したダメージは確実に蓄積しているようだ。  ――コニー、強いな……!  今まで覚醒せずにあれだけの一斉射撃をしていたのだ、狂戦士になったらより一層攻撃が激しくなるのは明白である。  ランゴバルトがどこを気に入って側に置いているのかわからなかったけれど、実際に戦ってみたらその強さが少し理解できた。  それでも……それでも、自分だって負けるわけにはいかない。  アクセルの目標は、あくまでトーナメントに優勝すること。優勝して、兄に挑戦状を叩きつけること。二回戦目で早々に敗退するなんて論外だ。何のために洞窟を踏破したのかもわからなくなる。  それに、兄が見守っている死合いで無様な姿は晒せないだろう。  命尽きる最期の瞬間まで、全力で戦って勝利をもぎ取る。  だからどんなにボロボロになったとしても、今突っ込んでいくしかない……! 「タアァァァッ!」  アクセルは両手の小太刀を思いっきり振り抜いた。  右の小太刀は上手く逸らされてしまったが、左の小太刀が肩から脇腹までをバッサリ斬り裂いた。  返り血と一緒に反撃の矢も飛んできて、自分の胸元に突き刺さる。 「ハアァッ!」  追撃とばかりに、逸らされた右の小太刀で相手の胴体を薙ぎ払う。切断まではできなかったが、確実な手応えを感じた。

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