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第1528話※(アクセル~フレイン視点)
「っ……!」
斬った途端、目に矢が突き刺さってブツン、と視界が暗くなった。
強烈なめまいが襲って来て、とうとうその場から動けなくなってしまう。
――ああ、どうしよう……もう力が入らない……。
相手がどうなったか確認する前に倒れてはいけない。未確認のまま倒れるのは、死合いにおいてはほとんど敗北なのだ。
ここまで頑張ったんだから負けたくない。負けられない。絶対に勝ちたい。
でも前は見えないし、意識は朦朧としてるし、身体に力は入らないし、だんだん音も聞こえなくなってき……。
そこでアクセルの意識は途切れた。
自分が今どんな状態か――倒れたのか、まだ立っているのか、死んだのか、生きているのか、それすらもわからなかった。
***
『死合い終了! 勝者、アクセル! 遺体回収班は遺体を回収してください』
ヴァルキリーの声が降ってきて、直後に観客席がどよめいた。
スタジアムの中央では袴姿の少年が血の海に沈んでおり、内臓を剥き出しにしたまま死んでいる。
一方のアクセルは――立った状態のまま硬直していた。
全身の至るところに矢が刺さっており、片目も深々と矢で射貫かれている。まるで人間の針山みたいだ。
「うん、よく頑張りました」
フレインは弟の健闘に拍手を送った。そして急いでスタジアムに下りて行った。
遺体回収担当の下位ランカーが四苦八苦しているところに、声をかけてやる。
「アクセルの遺体は私が運ぶから、きみ達はあっちの子を棺に入れてやってくれるかい?」
「ああ、ありがとうございます。助かります」
下位ランカーたちはこれ幸いと担架を持ってきて、血まみれになったコニーの遺体を運んでいった。
回収そのものがやや雑だったので、担架に身体を乗せる時に胴体が千切れて内臓が飛び散ってしまっていた。ランゴバルトが見たら、遺体回収班も全員遺体になってしまいそうな案件だ。
苦笑しつつ、弟の遺体をスタジアムの控え室まで運ぶ。針山状態では棺に入れられないので、身体に刺さった矢を一本一本抜いてやった。
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