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第1531話(フレイン視点)
――ありゃ、これはマズいなぁ……カレーくらいしか作れないじゃないか。
最近の買い出しは弟に丸投げだったから、自宅にどれくらいの食料が残っているのか把握できていなかった。たまには一緒に買い物行かないとダメだ。
カレーだけでは満足できないので、フレインは買い物カゴを掴んで市場に買い出しに行った。
食材を片っ端から買い込んでいる最中、たまたまユーベルに遭遇した。
彼はワインの品定めに来ていたらしく、食材をごっそり買い物カゴに入れているフレインを見て「パーティーでもするんですか」と呆れていた。
――よし、今日はこんなものかな。
十分に食材を購入し、家に戻ってまずはカレーを作る。
材料の野菜をざくざく切り刻み、肉もゴロゴロ状態になるよう切って、全部まとめて鍋に放り込んだ。本当は火を入れる順番とか煮崩れしない切り方とかいろいろあったんだろうが、面倒臭いので全て適当だ。
材料を煮込みつつ、最後にスパイスやルーで味付けをする。
完成したカレーは思った以上にとんでもない量で、二日どころか一週間くらいは食べられそうだった。弟が帰ってきたら、いろんなアレンジ料理を作ってもらおう。
――ピピちゃんの食事も、今日はカレースープでいいか。
せっかく作ったし……と、作ったカレールーを別の鍋に取り出し、スープ用に薄めて野菜と一緒に煮込む。
その間、自分用のステーキを焼き、小麦粉を適当にこねた簡易ナンも焼いて、そこにカレーを添えて夕食にした。
弟がいないのでピピと一緒に外で食べたが、やっぱり一人の食事は少し寂しい。
こんなことならジークでもユーベルでも誘えばよかったかな……などと考えかけ、軽く首を振った。それをやったらまた弟に「浮気だ!」と怒られてしまう。
友人と食事するくらいで浮気というのもどうかと思うが、弟にとっては浮気なのだから仕方ない。それに、せっかく頑張って死合いに勝ったのに、その間兄が浮気ではさすがに可哀想だろう。
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