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第1532話(フレイン~アクセル視点)

「早く復活しなさいね、アクセル」 「……ぴ?」 「ああいや、何でもないよ。こっちの話」 「ぴ……」 「ところでピピちゃん、ご飯は足りた? おかわりが必要なら持ってくるよ」  ピピはすんすんと鼻を動かしながら、カレースープが入っていた器をこちらに差し出してきた。  それを「おかわり」だと思って追加分を持って行ってあげたら、「もういらないよ」とそっぽを向かれてしまった。ペットの心情を読み取るのは難しい。アクセルなら間違えないのだが。  ――あの子は常に私に対して劣等感を抱いてるけど、戦士としての実力が少し劣っているだけで、こっちは私生活でいろいろ穴があるんだよなぁ……。  残っている食料も把握していないし、ペットの心情も読み間違えるし、何なら家事全般面倒なのでやりたくない。自分は基本的にものぐさだから、鍛錬ですらアクセルほど真面目にはやっていない。いつか本当に実力も追い抜かされるんじゃないかと危惧している。  まあ、そうならないように最低限実力はキープするけど。  食事の皿を綺麗に洗い、おやすみ前のホットミルクを作って飲み、フレインはベッドに入った。隣のベッドは当たり前だが空っぽだ。  ――ああ……なんだか無性にあの子に触れたい……。  明日の朝には復活しているだろうか。内臓がぐちゃぐちゃになったわけじゃないから、言うほど復活に時間はかからないだろう。明日起きたら様子を見に行ってみよう。  フレインは何度か寝返りを打ち、浅い眠りについた。何かしらの夢を見た気がするが、どんな夢だったか思い出せなかった。 *** 「……!」  ガタッと棺が揺れた音がして、アクセルは目を覚ました。蓋は開けられており、差し込んでくる朝陽が眩しい。  目を細めながら身体を起こし、ゆっくりと立ち上がる。矢でボロボロになっていた身体も、すっかり完治しているようで安心した。両目も見えているし、これでいつも通りの生活に戻れる。

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