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第1534話
「兄上……!」
ようやく兄に追いつき、隣に並ぶ。起きてすぐにダッシュしたので、少し息が切れた。
「おや、話は終わったの? お友達はもういいのかい?」
「う、うん……起きた時にちょっと世間話してただけだから……」
「そう? 別にゆっくり話しててよかったのに」
気にしていないかのように、スタスタ歩いていく兄。アクセルも置いていかれないようについて行った。
「ああ、そうだ。第二死合い勝利おめでとう。最期まで頑張ってたね」
「あ……ありがとう……。何とか勝ててよかったよ。……まあ、結果を聞く前に死んじゃったんだけどな」
「そうだね。お前、立ったまま死んでたし。身体も丸太みたいにカッチカチだったから、棺まで運ぶの大変だったよ」
「う……すまない。また手間をかけてしまった」
「いいよ、可愛い弟の死体を適当に扱われるのも嫌だし。なんか今回の死体回収班、慣れてないのか仕事がザツでさー。コニーくんだっけ? 運んでる時に内臓が飛び出てたんだよね。ランゴバルトが見たら激おこ案件だよ」
「そ、そうだったのか……」
激おこどころか、死体回収班がまとめて全員惨殺されそうな話である。
「そうだ、帰ったらピピちゃんの爪切ってあげてね。伸びてたから切ってあげようと思ったんだけど逃げられちゃって。お前じゃないと、どーしても嫌だったみたい」
「あー……それは、まあ……な……」
以前ピピは、獣化しかけた兄に食料として斬られたことがある。そのトラウマがあるから、兄にはつい警戒してしまうのだろう。
家に帰り、庭に顔を出してみる。気付いたピピが小屋から飛び出し、こちらに駆け寄ってきた。
「ただいま。いい子に留守番してたか?」
「ぴー♪」
「ところでピピ、爪伸びてるんだって? 今から切ってやるから、座って待っててくれ」
「ぴ……!?」
「あまり爪が伸びてると、走っている時に引っ掛かって折れたり剥がれたりするからな。ある程度の長さに保っておくのは重要だ」
そう言ったら、ピピは勢いをなくしてしょぼんと耳を萎れさせた。
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