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第1540話*

「……!」 「それでも、やっぱり疑われたくはなかったな。私は別に浮気をしたいわけじゃなくて、ただ単にお前がいない間の時間を潰したかっただけなんだ。その方法は何でもよくて、友人と食事したり宴に出掛けたりしてもいい。他人の家に泊めてもらうのもアリだと思ってる」 「…………」  アクセルとしては「ナシ」だけど、そこは考え方の違いなのだろう。 「でも、友人との食事はお前に『浮気だ!』って怒られちゃうから今回はやめた。復活早々お前と喧嘩するのも嫌だしね。そう思っての選択だったのに……初っ端から疑われちゃって、なんかイラッとしたんだ。私はお前の考え方を優先して寂しいのを我慢したけど、結局何をしても疑われるんじゃ意味ないじゃないか……って。これならジークやユーベルと食事してた方がよかったかも……ってさ」 「……ごめんなさい……」 「あとはなんか、せっかく迎えに行ったのにお友達と呑気に話していたのもちょっとイラッとした。私は一人で過ごしてたのに、お前はお友達と話してるのかよ……って。それも無神経に感じたね」 「うう……すみません……」  やっぱりアレも怒ってたんだな……と、今更ながら反省する。何で自分は、兄を怒らせるようなことばかりしてしまうのだろう。  ぐすん、と鼻を啜り上げたアクセルを、兄が優しく撫でてきた。 「……まあ、お前に悪気がなかったのもわかってるけどね。だから今回は、ちょっとしたすれ違いってことにしようか。お互いに気持ちを理解できたら、この話はもうおしまいにしよう。それでいいね?」 「ん……」  小さく頷いたら、兄はにこりと微笑んでキスしてくれた。  唇が離れたので、アクセルは改めてお願いしてみた。 「じゃあ、後ろの手錠も外してくれないか? これ以上拘束する理由はないだろ?」 「んー……」  けれど兄は少し首をかしげた後、何故か真顔でこんなことを言い出した。

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