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第1557話

 勢いに押され、とりあえずアクセルは頷いた。  ――まあ、兄上が心配してくれていることはわかるしな……。  やはり上位ランカーは、ある程度の自信を持っていないとダメなようだ。それなりにランクが上がったのに、未だに変な人に絡まれるのは、自信のなさが外面に出ているからに違いない。それで「コイツには何をしても大丈夫だ」と舐められてしまうのだ。  そういうのは自分も嫌な思いをするし、兄を心配させることにも繋がるから早めに改善した方がいい。  アクセルは平らげた食事の皿を片付け、キッチンで洗いながら言った。 「俺、これから軽くランニングがてら世界樹(ユグドラシル)の前まで行ってくる。それでトーナメント表とか本死合いのスケジュールとか、いろいろ確認してくるよ。チェイニーの死合いもいつ行われるか気になるしな」 「はいはい。じゃあ私は市場に買い物でも行こうかな。昨日カレー作ったら食材使いすぎちゃって」  そんなわけで、お互い別の目的地を目指して家を出た。  家から世界樹(ユグドラシル)前まで走ったら、そこそこいい運動になった。  ――ええと、トーナメント表は……。  自分のブロックを探し出し、チェイニーの名前も確認する。チェイニーが次に戦うのはポールとかいう戦士で、それに勝利したらアクセルと戦うことになるみたいだ。  ちなみに、その死合いが行われるのが明日の午後。  ――明日の午後か……兄上、空いてるかな……?  兄の仕事のスケジュールも確認してみたのだが、明日の午後は残念ながら警備当番が入っており、非番ではなかった。予定が空いていたら一緒に観戦してもらおうと思ったのに。  残念だ……と思いつつ、仕方なく家に戻る。  兄はまだ戻ってきていなかったので、夕方まで庭で軽く鍛錬することにした。ジョギングはしたので軽いストレッチと素振り、体幹を鍛えるための筋力トレーニングも行う。  ピピも側で鍛錬を見守りつつ、固い丸太をガリガリ齧っていた。

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