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第1559話

「意外と美味しいぞ。もしかしたらハチミツが入っているのかもしれない」 「ああ、なるほどね。それで元気が出るってことか。それなら私の分も買ってくればよかったなぁ」 「今度見つけたら買ってくればいいじゃないか。俺も市場行った時に探してみるよ」  空になった小瓶を洗い、ゴミに捨てる。空き瓶や空き缶もだいぶ溜まってきたから、そろそろ廃品回収に出さなくては。  その後は余ったカレーと買ってきた食材を使い、カレー鍋を作って夕食にした。だいぶたくさんのカレーを消費したので、あと一回分で全部食べ切れると思う。  ――明日の朝にカレーを食べれば、あの鍋も洗えるな……。  寸胴鍋だから洗うの大変そう……と思いつつ、その日は当たり前に就寝した。  翌朝、いつも通りに起床してベッドメイクをしていた時、就寝着の袖がいつもより少し長くなっていることに気付いた。 「……あれ?」  何度も洗濯していて袖が伸びてきてしまったんだろうか。確かにこの就寝着、ほぼ毎日着ているからそろそろ替え時かもしれない。  近いうちに新しいもの買ってこよう……などと考えつつ、洗面所で顔を洗おうとした。 「え……」  鏡に映った自分の顔を見て、一瞬思考が停止する。  自分であることは間違いないのだが、明らかに十年くらい若返っていた。大人の顔ではなく、少年の顔をしていた。  ――ちょ、待て待て……何だこれ……? 見間違いか……?  寝ぼけているのかと思い、目を擦ってもう一度よく見る。  だが何度見ても姿は変わらず、十六、七歳くらいの少年のままだった。  慌てて就寝着を脱いで身体も確認したが、しっかり鍛えられた肉体というよりは発展途上の若い身体という感じで、腹筋も薄く線がついている程度に留まっていた。  何なら身長も一〇センチくらい縮んでいる気がする。  ――嘘だろ……!? なんで急にこんな……。  今日はチェイニーの死合いを見に行こうと思ったのに。というか、まだまだトーナメントは終わりじゃないのに。ずっとこのままだったらどうしよう……。

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