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第1564話
着けられてしまった以上はどうしようもないので、アクセルは渋々ズボンを穿き直した。いつもの下着と違い、ゴツゴツした金属に違和感を覚えた。
タイトなズボンだと布の上から貞操帯とやらの跡が見えてしまうので、やむを得ず緩めのパンツに穿き替える。何でわざわざここまでしなければならないんだか……。
――なるべく考えないようにするしかないな……。
兄が出掛けてしまったので、家に一人になった。
気を紛らわせるべく、今日は家事に専念することにした。
寸胴鍋は一度洗っただけでは臭いがとれなかったので、洗剤を加えた水にしばらく浸けて放置しておく。
――さて、次は……。
まずは掃除をしてしまおうと思い、アクセルはリビングのテーブルや椅子を動かし、フローリング用のモップをかけた。
掃除はマメにしているつもりだが、何故か生活の汚れがすぐに溜まる。兄も自分もいい大人だし、そこまで汚すようなことはしていないはずなのに、何故汚れてしまうのか。
床を拭き、テーブルと椅子を元の場所に戻し、次はキッチン、洗面所、浴室……と順番に掃除をしていく。
キッチンと洗面所はそれほどでもなかったが、一番時間がかかったのが案の定浴室だった。排水溝に溜まった髪の毛もそうだが……兄とやらかした後始末がきちんとできていない部分もあって、自分で掃除しながらものすごく恥ずかしくなってしまった。
兄とのやり取りを思い出したら、何故か貞操帯が股間に食い込んできて、余計に身体が疼いてしまった。
――そう言えば……。
自分を抱いている時、兄は「若い頃のお前はどんな風だったんだろう」などと妄想していた。
あの時は聞き流してしまったけれど、十六歳の姿まで若返っている今なら、試してみるのもやぶさかではない。
明日には戻ってしまうかもしれないし、今夜が最初で最後のチャンスなのではないか。
自分も、「もし生前に兄に抱かれていたら」みたいな気分を味わえるなら、それはそれで新鮮な気もするし……。
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