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第1567話

 まあピピなら止めてくるよな……と苦笑しつつ、アクセルは言った。 「……冗談だよ。でも、腹が立つのは事実だ。兄上が帰ってきたら少し文句言ってやろう」 「ぴ……」 「それにしても、鍛錬できないと暇だな。ずっと家の中にいるのも退屈だ。家事も一通り終わらせてしまったし、何もやることないんだよな……」  はぁ……と深く溜息をつく。  するとピピは何を思ったか、丸太が積んであるところに行き、手頃なものを一本口に咥えて持ってきた。  それをアクセルの前にゴトン、と置き、何か催促するように鳴いてくる。 「ぴー、ぴー」 「……丸太? これをどうするんだ?」 「ぴー!」  ガリガリと丈夫な前歯で齧っているピピ。  比較的柔らかい木材を持ってきたようで、みるみるうちに木肌が削れて白っぽい木目が露わになった。  それを見て、ようやく合点がいった。 「あ、木彫りか……。そういや随分やってなかったな。すっかり忘れてたよ」 「ぴー」 「久々にちょっとやってみようかな。どうせこれ以上鍛錬もできそうにないしさ」 「ぴー♪」  ピピも「それがいいよ」とアクセルの側に寝そべり始めた。さも「自分をモデルにしろ」と言っているみたいで、ちょっと笑みがこぼれた。そう言えば、以前も留守番してた時にこんなことがあったなぁ……。  ――せっかくだし、ピピの木彫りでも作ってみるか。  ナイフを持ってきて丸太を適当な大きさに削り、ピピのような饅頭型に整えていく。  形を整えるだけでも結構な時間がかかり、気づいたらいつの間にか陽が傾きかけていた。 「ただいまー」  玄関先から兄の声が聞こえ、もうそんな時間だっけと顔を上げる。  時計を見たら五時を少し過ぎたところだった。……仕事にしては解散が早いな? 「ただいま、アクセル。いい子で留守番してた?」 「してたよ。今日はどこにも行ってないしな。……兄上のせいで」 「まあたまにはいいじゃない。ところで何してたの? 木彫り?」 「ああ、久しぶりにちょっとやってみようかと。どうせ外には出られないし、庭で鍛錬もできないしな」

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